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日本で見られるブリューゲル父子作品|美術館・所蔵作品・展示状況を解説

日本でブリューゲルを見るなら、最初に父本人の油彩、父が下絵を考えた版画、長男ピーテル・ブリューゲル(子)の油彩を分けておくと迷いません。2026年10月時点では、子の油彩を国立西洋美術館で1点、東京富士美術館で2点見ることができます。

父の作品を日本で見るなら、版画が中心です。国立西洋美術館、神奈川県立近代美術館、町田市立国際版画美術館、印刷博物館には、父が原画や下絵を考えた版画があります。一方、現在公開されている主要な美術館の所蔵情報では、父本人の油彩は見つかっていません。

国立西洋美術館《鳥罠のある冬景色》

東京・上野の国立西洋美術館にある《鳥罠のある冬景色》は、ピーテル・ブリューゲル(子)の油彩です。40.6×56.8cmの板絵で、もともとは松方幸次郎が持っていた作品。いったん海外へ渡った後、2006年に国立西洋美術館が購入しました。

国立西洋美術館所蔵 ピーテル・ブリューゲル(子)《鳥罠のある冬景色》
《鳥罠のある冬景色》/ピーテル・ブリューゲル(子)/油彩・板/40.6×56.8cm/国立西洋美術館

《鳥罠のある冬景色》は、同じ構図をもとにした作品が100点以上知られるほど人気の高かった一枚です。父の絵が、子の工房を通してどれほど広く受け継がれたのかを実物から感じられます。

2026年10月時点では常設展示中

2026年10月時点では、《鳥罠のある冬景色》は国立西洋美術館の常設展で展示されています。展示替えもあるので、遠方から訪れる場合は来館前に最新情報を確認しておくと安心です。

東京富士美術館《雪中の狩人》

八王子の東京富士美術館には、ピーテル・ブリューゲル(子)の《雪中の狩人》があります。17世紀、油彩・板、25.5×32.5cm。父ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に制作したウィーン美術史美術館の名作を基にした作品です。

東京富士美術館所蔵 ピーテル・ブリューゲル(子)《雪中の狩人》
《雪中の狩人》/ピーテル・ブリューゲル(子)/17世紀/油彩・板/25.5×32.5cm/東京富士美術館

父の原作は116.5×162cmの大画面ですが、東京富士美術館の子作品は25.5×32.5cm。ぐっと小さくなった分、人物や冬の遊びも整理されています。並べて見ると、同じ構図でも印象がかなり変わります。

東京富士美術館《農民の結婚式》

同館はもう一点、ピーテル・ブリューゲル(子)の《農民の結婚式》を所蔵しています。1630年、油彩・板、73.0×104.0cmです。父の《農民の婚宴》を基にしながら、室内だった場面を戸外へ移した別バージョンです。

子が描いた《農民の結婚式》には、父と同じ室内のものと、場面を戸外へ移したものがあります。東京富士美術館の一枚は戸外型です。同じ結婚式なのに、場所を変えるだけで明るく開放的な印象になります。

東京富士美術館所蔵 ピーテル・ブリューゲル(子)《農民の結婚式》
《農民の結婚式》/ピーテル・ブリューゲル(子)/1630年/油彩・板/73.0×104.0cm/東京富士美術館

2026年10月時点では2点とも展示中

東京富士美術館では、2026年10月3日から12月27日までの「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」で、《雪中の狩人》《農民の結婚式》の2点を見ることができます。会期後は展示が変わる可能性があります。

「へ~」「そうなんだ!」朝の1分、ちょっと朝活

Q1. モネはなぜ同じ景色を何枚も描いたの?
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父本人の油彩と子の作品を混同しない

日本の美術館で「ブリューゲル」と書かれていても、父本人の油彩とは限りません。国内で見つけやすい父の作品は版画が中心です。一方、長男ピーテル・ブリューゲル(子)の油彩は、国立西洋美術館と東京富士美術館で合計3点見ることができます。

もちろん、非公開の個人蔵まで含めて「日本に父の油彩は一枚もない」と断定することはできません。ここでは、美術館が一般公開している所蔵情報をもとに紹介しています。

《雪中の狩人》《農民の婚宴/農民の結婚式》《鳥罠のある冬景色》には、よく似た作品が何枚もあります。作品名だけで判断せず、作者名と所蔵館まで見ると父子を取り違えません。

父の芸術は版画でも日本に伝わっている

ピーテル・ブリューゲル(父)は、版画のもとになる下絵も数多く描きました。日本では父の油彩より、こうした版画に出会う機会の方が多くあります。ブリューゲルが構図を考え、実際に銅版を彫ったのは別の版画家、という作品も少なくありません。

そのため、「日本にブリューゲル作品は何点あるのか」と聞かれても、簡単に一つの数字では答えられません。父本人の油彩、父の下絵をもとにした版画、子の油彩、工房の作品を、どこまで数えるかで答えが変わるからです。

日本で見るなら何を比べるか

国立西洋美術館の《鳥罠のある冬景色》、東京富士美術館の《雪中の狩人》《農民の結婚式》。この3点を見比べると、子が父の絵をそのまま写したのではなく、サイズ、人物、場所まで変えていたことが目で確かめられます。

父と子の関係は、「父が本物で、子がコピー」で終わりません。父の絵が、子の手で小さくなったり、舞台を変えたりしながら、別の時代の買い手へ届いていった。その流れまで見えるのが、父子を一緒に見る面白さです。

日本国内で確認できる代表的なブリューゲル父子作品

国内の美術館が公開している収蔵情報から、代表的な作品を油彩と版画に分けると次のようになります。版画には、父ブリューゲルが絵のもとになる原画や下絵を考え、別の版画家が銅版を彫った作品も含めています。

所蔵館代表作品ブリューゲルの役割技法
国立西洋美術館鳥罠のある冬景色ピーテル・ブリューゲル(子)油彩・板
東京富士美術館雪中の狩人ピーテル・ブリューゲル(子)油彩・板
東京富士美術館農民の結婚式ピーテル・ブリューゲル(子)油彩・板
国立西洋美術館賢い処女と愚かな処女のたとえ父の構想による版画エングレーヴィング
国立西洋美術館『大風景画』よりアルプスの風景ほか父の下絵・構想による版画エッチング、エングレーヴィング
神奈川県立近代美術館『大風景シリーズ』のうち―休息する兵士たちピーテル・ブリューゲル(父)エッチング、エングレーヴィング
神奈川県立近代美術館『七つの大罪』より傲慢・貪欲・貪食などピーテル・ブリューゲル(父)エングレーヴィング系版画
町田市立国際版画美術館『大風景画』より改悛のマグダラのマリア父が構図、ドゥテクム兄弟が彫版エッチング、エングレーヴィング
印刷博物館『七つの大罪』より《怠惰》父の原画による版画エングレーヴィング

神奈川県立近代美術館にもブリューゲル(父)の版画がある

神奈川県立近代美術館にも、ブリューゲル(父)に関わる版画が何点もあります。《『大風景シリーズ』のうち―休息する兵士たち》のほか、《七つの大罪》の《傲慢》《貪欲》《貪食》などです。

父ブリューゲルは油彩だけでなく、版画のもとになる下絵も数多く残しました。日本では父の油彩を見る機会は限られますが、版画なら実物に出会える美術館がいくつもあります。

町田市立国際版画美術館では『大風景画』を所蔵

町田市立国際版画美術館には、『大風景画』シリーズの《改悛のマグダラのマリア》があります。1555〜56年頃の作品で、ブリューゲル(父)が構図を考え、ヤン・ファン・ドゥテクムとリュカス・ファン・ドゥテクムが版を彫りました。

ここでも「ブリューゲル作品」という表現には注意が必要です。画面の発想と下絵を担ったのはブリューゲルですが、銅版へ実際に線を刻んだのは別の版画家です。油彩画の真筆と同じ意味で「ブリューゲル本人が制作した版」と扱うべきではありません。

印刷博物館にも《七つの大罪》の版画がある

東京・文京区の印刷博物館には、《七つの大罪》シリーズの《怠惰》があります。ブリューゲル(父)が原画を考えた版画で、日本で父の発想に触れられる一枚です。

神奈川県立近代美術館、町田市立国際版画美術館、印刷博物館まで見ると、日本では父の油彩より、父の下絵をもとにした版画の方が実物に出会いやすいことが分かります。

「父の作品が日本にある」ときは版画の作者表示に注意

国立西洋美術館の版画では、ピーテル・ブリューゲル(父)が構図や下絵を担当し、実際の彫版はピーテル・ファン・デル・ヘイデン、フィリップス・ハレ、ヤン/リュカス・ファン・ドゥテクムら別の版画家が担っている例があります。作者欄にも複数の作者名が表示されます。

美術館で「ブリューゲル(父)」とあっても、本人が銅版を彫ったとは限りません。父が下絵を考え、別の版画家が彫った作品もあります。作者欄に複数の名前があれば、その役割まで見ると作品の成り立ちが分かります。

展示中かどうかは所蔵とは別

所蔵品は常に展示されているとは限りません。国立西洋美術館の《鳥罠のある冬景色》は2026年10月時点で常設展示中です。父の下絵による版画では、『大風景画』の《アルプスの風景》も同館の企画展示館展示室で展示中と案内されています。一方、《賢い処女と愚かな処女のたとえ》などの版画は現在非展示です。東京富士美術館の《雪中の狩人》《農民の結婚式》は、2026年10月3日から12月27日まで「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」で展示されています。

版画は紙作品のため、保存上の理由から展示期間が限られることもあります。実物を見る目的で出かける場合は、各館の公式収蔵品ページで「展示中」の表示を確認してから訪問するのが確実です。

日本で見られるブリューゲルについてよくある質問

日本でピーテル・ブリューゲル(父)の油彩画は見られますか?

2026年10月時点で、一般公開されている主要な美術館の所蔵情報では、父本人の油彩は見つかっていません。日本では、父が構図や下絵を考えた版画を国立西洋美術館、神奈川県立近代美術館、町田市立国際版画美術館などで見ることができます。

ピーテル・ブリューゲル(子)の油彩は日本に何点ありますか?

2026年10月時点で確認できる油彩は3点です。国立西洋美術館《鳥罠のある冬景色》、東京富士美術館《雪中の狩人》《農民の結婚式》です。

2026年10月現在、実際に展示されていますか?

国立西洋美術館《鳥罠のある冬景色》は公式収蔵品データベースで常設展示中と表示されています。東京富士美術館の《雪中の狩人》《農民の結婚式》は、2026年10月3日から12月27日までの「西洋絵画 ルネサンスから20世紀まで」で展示されています。展示替えがあるため、来館直前には各館の公式情報を確認してください。

父ブリューゲルの版画は本人が彫ったのですか?

多くの版画では、ブリューゲルが構図や下絵を考え、ピーテル・ファン・デル・ヘイデン、フィリップス・ハレ、ヤン/リュカス・ファン・ドゥテクムらが実際の版を彫っています。美術館で作者名が二人以上並んでいたら、誰が下絵を考え、誰が彫ったのかを見ると分かりやすいでしょう。

国立西洋美術館・東京富士美術館以外にも所蔵がありますか?

あります。神奈川県立近代美術館には《大風景シリーズ》や《七つの大罪》に属する版画、町田市立国際版画美術館には『大風景画』シリーズ《改悛のマグダラのマリア》、印刷博物館には《七つの大罪》の《怠惰》など、父の構図に基づく版画が所蔵されています。

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