風景画家を募集しています INSHO-HA 現代の印象派 風景画コンテスト 応募締切 12月12日 詳細を見る →

ブリューゲル(子)『鳥罠のある冬景色』とは|意味・父の原作・国立西洋美術館を解説

雪に覆われた村の川が凍り、人々はスケートや冬の遊びを楽しんでいます。ところが画面右下には、鳥を捕まえるための罠があります。国立西洋美術館の《鳥罠のある冬景色》は、ピーテル・ブリューゲル(子)が父の構図をもとに描いた作品です。楽しそうな冬景色の中に、少しだけ危うさが混じっています。

ピーテル・ブリューゲル(子)《鳥罠のある冬景色》
《鳥罠のある冬景色》/ピーテル・ブリューゲル(子)/油彩・板/40.6×56.8cm/国立西洋美術館

国立西洋美術館にあるピーテル・ブリューゲル(子)の作品

作者はピーテル・ブリューゲル(子)。油彩・板、40.6×56.8cmです。もともとは松方幸次郎のコレクションにあった作品で、2006年に国立西洋美術館が購入しました。父の絵を受け継いだ子の作品を、日本で実際に見られる貴重な一枚です。

この冬景色は大変な人気で、同じ構図をもとにした作品が100点以上知られています。父の絵を見たい人が多く、子の工房でも何度も描かれました。

凍った川で遊ぶ人々

画面左から中央にかけて、凍った川の上に多くの人物が散らばっています。スケートや独楽など、冬ならではの遊びが小さな姿で描かれます。人間の動きはにぎやかですが、白い雪と灰色の空が風景全体を静かにまとめています。

遠くには橋、家々、教会の塔が見え、冬の村全体が俯瞰されています。人物だけを切り取らず、生活が自然の中に包まれているように見せる構成は、父ブリューゲルの風景画から受け継いだものです。

右下の鳥罠

題名の「鳥罠」は、画面右下にひっそり置かれています。雪の上の餌に鳥が近づくと、板が落ちて捕まえる仕掛けです。気づかずに通り過ぎそうな小さな部分なのに、ここを見つけると絵の印象が少し変わります。

鳥は餌に誘われて罠へ近づき、人々は薄い氷の上で遊んでいます。どちらも危険に気づいていないように見えるため、「楽しい日常のすぐそばに危険がある」と読む人もいます。そんな意味を考えながら、雪の村の美しさを眺めるのも面白いでしょう。

「へ~」「そうなんだ!」朝の1分、ちょっと朝活

Q1. モネはなぜ同じ景色を何枚も描いたの?
Q2. ゴッホの『ひまわり』は何枚あるの?
Q3. 印象派という名前は誰が付けたの?

この3問の答えは、登録後すぐにメールで届きます。

登録無料・毎週火曜朝7:30ごろ・いつでも配信停止できます。

父の原構図と子の別バージョン

この構図を最初に描いたのは父ピーテル・ブリューゲルです。その後、長男の工房で何度も描かれました。父の作品は少ないのに、子の作品がたくさん残っていることからも、この冬景色が長く愛されたことが分かります。

子の工房でも、同じ絵をそっくりそのまま写したわけではありません。人物の数や建物、色、細部に違いがあり、並べて見ると「ここは変えた」「ここは残した」と見比べる楽しさがあります。

父の原作は1565年、ブリュッセルに残る

《鳥罠のある冬景色》の原構図は、父ピーテル・ブリューゲル(父)が1565年に制作した作品へさかのぼります。ベルギー王立美術館所蔵の父作品は、油彩・オーク板、37×55.5cmで、画面右下に「BRVEGEL / M.D.LXV」と署名・年記があります。

父の冬景色は後世に大きな影響を与えました。《鳥罠のある冬景色》をブリューゲル作品の中で最も多く模写された構図の一つとして紹介し、息子たちや匿名の追随者によって17世紀末まで繰り返し描かれたとしています。

鳥罠と氷上の人々をどう読むか

右岸の大きな木の近くには鳥罠があり、左側の凍った川では人々がスケートや独楽回しを楽しんでいます。雪に覆われた農村と冬の遊びをこの作品の主要な見どころとして説明しています。

鳥罠と氷の上の人々を結び付けて読むのには、理由があります。父ブリューゲルの下絵をもとにしたフランス・ハイスの版画には、「人の命はあてにならない」という意味の言葉が添えられています。

国立西洋美術館の作品では、手前の氷に穴も開いています。罠の餌へ近づく鳥と、氷の上で遊ぶ人々を並べて見ると、楽しさのすぐそばに危険があるようにも感じられます。ただし、隠された意味ばかりを探すのではなく、雪の村の美しさそのものも味わいたい作品です。

旧松方コレクションから一度散逸し、2006年に帰国

この絵は、もともと松方幸次郎が持っていました。ところが1927年、川崎造船所の立て直しのため担保となり、1931年の売立てで海外へ渡ります。その後、2004年にニューヨークのサザビーズへ出品され、画廊を経て、2006年に国立西洋美術館が購入しました。

旧松方コレクションの作品が再び日本の国立美術館へ戻ったという来歴は、この作品を日本で見る意味を大きくしています。父子の美術史だけでなく、日本における西洋美術収集の歴史とも結び付く一枚です。

父の原作と国立西洋美術館の子作品を比較

比較父の原作国立西洋美術館の子作品
作者ピーテル・ブリューゲル(父)ピーテル・ブリューゲル(子)
制作年1565年制作年未詳
寸法37×55.5cm40.6×56.8cm
所蔵ベルギー王立美術館国立西洋美術館
特徴署名と1565年の年記100点以上知られる別バージョンの一例

父と子の作品はよく似ていますが、もちろん別の絵です。国立西洋美術館にあるのは子の作品で、父の原作そのものではありません。見た目が近いからこそ、父の絵が次の世代へどう受け継がれたのかを比べる面白さがあります。

国立西洋美術館で現在見られるのか

2026年10月時点では、《鳥罠のある冬景色》は国立西洋美術館の常設展で見ることができます。展示替えはあるため、遠方から出かける場合は来館前に最新の展示情報を確認しておくと安心です。

なぜ100点以上も同じ構図があるのか

《鳥罠のある冬景色》は、ブリューゲル一族の中でも特に人気の高かった絵です。父の原作をもとに、長男の工房などで何度も描かれ、現在までに100点以上の作品が知られています。

100点以上あると聞くと同じ絵ばかりに思えますが、実際には木の形、人物、建物、色合いまで少しずつ違います。国立西洋美術館の一枚も、その違いを実物で確かめられる作品です。

《鳥罠のある冬景色》についてよくある質問

国立西洋美術館の作品は父ブリューゲルの真筆ですか?

いいえ。作者は長男のピーテル・ブリューゲル(子)です。父の1565年の原構図を受け継いだ作品で、父本人の油彩画ではありません。

鳥罠にはどんな意味がありますか?

罠に近づく鳥と、氷の上で遊ぶ人々の危うさを重ね、「人間の生命の不確かさ」を暗示すると解釈されています。関連版画の銘文と、画面手前の氷の穴がその読みを支えます。

同じ構図は何点ありますか?

同じ構図をもとにした作品は100点以上知られています。父の絵が人気を集め、子の工房や後の画家たちが長く描き続けたためです。

現在、国立西洋美術館で見られますか?

2026年10月時点では常設展で見ることができます。展示替えもあるため、遠方から出かける場合は来館前に最新情報を確認しておくと安心です。

関連記事

登録無料 毎週火曜 朝7:30ごろ 3つのQ&A

福福堂編集部の無料メールマガジン

朝の1分で、美術の「へ~」を3つ。

美術に詳しくなくても楽しめる3つのアートQ&Aを、毎週火曜朝7:30ごろ無料でお届けします。

・モネはなぜ同じ景色を何枚も描いたの?

・ゴッホの『ひまわり』は何枚あるの?

・印象派という名前は誰が付けたの?

この3問の答えは、登録後すぐにメールで届きます。

登録に必要なのはメールアドレスだけです。配信停止はメール末尾のリンクからいつでも行えます。

書画家・伊藤一樹

東京都・埼玉県限定 2026年12月15日までの開催分

講演歴17年以上・全国500回以上。 伊藤一樹の講演会を、講演料無料で。

中学校・高校・教育委員会から企業研修まで。心の不調を乗り越えた書画家・伊藤一樹が、実体験をもとに「あなただからこそできることがある」を語ります。

  • 講演時間25~70分
  • 約5分の書画ライブ可
  • 会場・日時未定でも相談可
講演料
0円

福福堂が講演料を負担します。主催者様は、岐阜県恵那市から会場までの交通費実費のみご負担ください。

お問い合わせ・詳細・申込はこちら

学校行事・企業研修・安全大会・健康・人権・福祉研修などにご相談いただけます。

タイトルとURLをコピーしました