小柳優衣さんがブレイク前夜に出演しました

小柳さんとの最初の出会いはもう9年前。

銅版画の作品ファイルを拝見すると、水に溶けていくイメージがとても印象的な作品群でした。

あるときは音符が水に溶けていき、あるときは亀がゆっくりとたゆたい。

花の作品であっても、そこには流れる水が感じられました。

それから彼女と共に年月を重ねるうちに、彼女の思考特性がとても不思議なことに気が付きました。恐ろしく論理的であり鋭い言語性を持つ一方で、抽象的な非言語イメージ。それらは恐らく小柳さんにしか分からない生命の秘密だったり、産み出す性としての慈愛と破壊であったり・・・。それらのアンビバレンツなものたちが、小柳さんという作家の中に住んでいると。

誰しも少しはそういう面はもっているとは思いますが、彼女の場合、まるで彼女自身のなかにキリスト教でいうところの”契約の神”と曖昧模糊としながら何もかも包み込む日本の神が同居しているような混沌さを峻烈に抱いています。

それらの底に流れる”水”は、生命の源であり、破壊であり創造であり、奈落の底に突き落とすような厳しさを見せつつすべてを包みこんでくれる、そのような尊さと神秘性を感じます。

小柳さんが銅版画という技法を選び、今、またそれだけに縛られず腐蝕を通じて朽ちていく銅の表現に魅せられているのも、なにか自然な流れのように感じます。

今年5月に銀座三越にて開催された個展での、このたびの試みは大反響を生みました。その個展がきっかけで「ブレイク前夜」に出演し、大変うれしく思います。これから始まる小柳さんの物語をずっと見ていけることを私もとても楽しみにしております。

福福堂

コメント

タイトルとURLをコピーしました