喜べ、喜べ、それがお前たちの仕事だ

週末、日本フィルの定期演奏会に行く。
樫本大進のシベリウス・ヴァイオリン協奏曲目当て。
彼の演奏は初めて聞いた2000年から、必ず1年に1~2回程度は聴いている。
今年30歳になった樫本大進の演奏は、今までの力強さや伸びやかさに加え、薄氷を踏むような心の綾、艶が表現され「大人になったよね~」と感動。それもそのはず、昨年ご結婚なさったとか。
今年の秋からは、あの「ベルリンフィル」で第一コンサートマスターをするそうで、まるで自分の甥っ子が活躍しているかのようにウレシイ。

大進くんの演奏が終わっての後半は、ショスタコーヴィチの交響曲第5番。
発売時にレコード会社がつけた副題は「革命」だったそうで、社会主義リアリズムを実践した交響曲として評価されていたらしい。(解説からの請売り)

しかし解説を更に読むとぶっとぶ。
「主題は誰にでも明白である・・・・強制された歓喜なのだ。それは、鞭打たれ、『さあ、喜べ、喜べ、それがお前たちの仕事だ』と命令されるのと同じだ。そして鞭打たれた者は立ち上がり、ふらつく足で行進をはじめ、『さあ、喜ぶぞ、喜ぶぞ、これがおれたちの仕事だ』という。これがいったいどんな礼賛だというのか」(演奏会の解説書より)

演奏中、私の頭の中では、幕間に慌てて飲み干した紅白ワイン(つまり2杯)と、なぜかマレーヴィチの「農夫、スーパーナチュラリズム」がぐるぐる渦巻き、農夫が諸手を挙げて喜んでいる(演技?)情景が浮かんできて、消えなかった。

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