ルノワールの作品は、日本国内の複数の美術館に所蔵されています。国立西洋美術館、ポーラ美術館、アーティゾン美術館、大原美術館、ひろしま美術館、東京富士美術館などで、初期から晩年まで異なる時期の作品を見ることができます。ただし「所蔵している」ことと「常に展示している」ことは同じではありません。訪問前には各館の公式サイトで展示状況を確認する必要があります。
ここでは国内所蔵作のうち、公式データで確認できる代表例を地域・美術館ごとに紹介します。印象派全体を日本で見たい方は「日本で見られる印象派作品」もご覧ください。
国立西洋美術館|初期ルノワールを見られる
東京・上野の国立西洋美術館は、松方コレクションを中心にルノワール作品を所蔵しています。《アルジェリア風のパリの女たち(ハーレム)》は1872年の初期作で、ドラクロワの《アルジェの女たち》を意識した東方趣味の作品です。2026年8月27日更新の所蔵館データでは常設展で展示中と案内されていますが、展示替えはあるため最新情報を確認してください。
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国立西洋美術館の常設展については「国立西洋美術館 常設展の見どころ」でも詳しく紹介しています。
アーティゾン美術館|シャルパンティエ家の肖像
東京・京橋のアーティゾン美術館は《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》を所蔵しています。1870年代のルノワールが、後援者となったシャルパンティエ家との関係を深めていた時期の作品です。人物の衣装や姿勢を丁寧に描きながら、印象派らしい柔らかな色彩も残っています。

石橋財団コレクションの見どころは「アーティゾン美術館 常設展の見どころ」で解説しています。
ポーラ美術館|『レースの帽子の少女』
箱根のポーラ美術館には《レースの帽子の少女》があります。1891年の作品で、白いレースの帽子、柔らかな頬、衣服の質感が見どころです。ポーラ美術館の公式コレクションでは、ルノワールが帽子や衣装の質感を捉えることに長けていた点も紹介されています。

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東京富士美術館|1890年代から1900年頃の女性像
東京富士美術館はルノワール作品を複数所蔵しています。《赤い服の女》は1892年頃、《浴後の女》は1896年、《読書する女》は1900年頃の作品です。印象派の盛期より後、人物の輪郭と柔らかな色彩が再び調和していく時期をまとめて見ることができます。



大原美術館|1914年の『泉による女』
岡山県倉敷市の大原美術館は《泉による女》を所蔵しています。1914年、油彩・キャンバス、92.5×73.7cmの晩年作で、泉辺の女性を豊かな色彩と柔らかな輪郭で描いています。大原美術館の所蔵記録では1914年に大原孫三郎のコレクションへ入った来歴も確認できます。大原美術館については「大原美術館とは」でも紹介しています。

ひろしま美術館|1913〜1914年頃の『パリスの審判』
ひろしま美術館は《パリスの審判》を所蔵しています。美術館公式では1913〜1914年頃、油彩・キャンバス、73.0×92.5cmとされ、2026〜2027年の「わたしたちのルノワール」にも貸し出されています。大原美術館の《泉による女》とは別作品で、ルノワール最晩年の神話画を日本で見られる重要な所蔵作です。

ほかにも日本各地にルノワール作品がある
池田20世紀美術館|1913年の晩年作を複数所蔵
静岡県伊東市の池田20世紀美術館にもルノワール作品があります。公式コレクションでは、1913年の《半裸の少女》、同年の《カーニュ風景》、ブロンズ彫刻《ヴィーナスの立像》などが確認できます。絵画だけでなく彫刻も含め、最晩年の仕事を一つの美術館で比較できる点が特徴です。
このほか、熊本県立美術館の《胸に花を飾る少女》、三重県立美術館の《青い服を着た若い女》、山王美術館のルノワール・コレクション、山形美術館で公開される吉野石膏コレクションなど、国内各地で作品を見ることができます。日本にあるルノワール作品は一館に集中しておらず、公立・私立の美術館に広く分散しているのが特徴です。
所蔵=常設展示ではない
美術館は保存、貸出、企画展、展示替えのため、所蔵作品を常時展示しているとは限りません。特に油彩画は光や温湿度への配慮から展示期間が限定されることがあります。この記事で紹介した作品を目的に訪れる場合は、当日の展示情報を各館公式サイトで確認してください。
2026〜2027年『わたしたちのルノワール』巡回展
2026年から2027年にかけて、国内所蔵のルノワール作品を軸にした特別展「わたしたちのルノワール」が全国5都市を巡回します。熊本県立美術館は2026年7月18日〜9月13日で終了し、静岡市美術館は2026年9月22日〜11月15日、大分県立美術館は2026年11月23日〜2027年1月17日、東京富士美術館は2027年1月24日〜3月28日、岡山県立美術館は2027年4月6日〜5月30日の予定です。
通常は各地に分散している作品をまとめて見られる機会であり、ルノワールが日本でどのように受容され、各地の美術館に収蔵されてきたかを考える展覧会でもあります。
まとめ|日本ではルノワールの画業を時代別に見られる
日本のルノワール作品の魅力は、単に所蔵点数があることではありません。1870年代の初期・印象派期、1890年代の女性像、1900年代以降の晩年作まで、異なる時期の作品が複数の美術館に分かれて所蔵されています。旅行や展覧会に合わせて各館を巡ると、ルノワールの画風変化を実作品で追うことができます。
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