マチエールはマテリアルだった!
感染症が蔓延してからのここ2年超、展覧会をオンラインで開催したり、ZOOMで作品を販売したりすることも多かったのですが、先日3年ぶりに見たかった作品展をご覧になったというお客様から言われたのが、「やっぱり本物は違う。現物を見られて良かった!」という言葉。
違うのですよ。やっぱり。
遠距離恋愛で会いたくて会えなくて、オンラインでデートを重ねていて、それでもいいかと諦めていた。でもやっと手の届く距離で接したときに感じるその現実感!
そうなんです。アートでも、その「現実にそこに存在する」物質感というものがあります。絵具の盛り上がりや、掠れや少し擦り切れたような紙の質感とか・・・云々ありますが、どうしても写真や画面では分からない「そこにそのものがある」その存在感。人間なら体温を感じるような肉感、絵画なら油絵具の艶や盛り上がりの素材感、日本画だったら岩絵の具の鉱物の輝きや粒子のキラキラ。
マチエールというフランス語は、アート界ではカッコよく絵肌感と訳されたりしていますが、英語にするとマテリアルです。物質感。作家の息遣いまで感じられて同じ空間にいられる喜びを感じられる存在感。そこが絵画やアートを「我がものにしたくなる秘密」だと・・・・私は思っています。
(ライター晶)
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