椿と山茶花

なぜか椿は私に「立ち止まること」を教えてくれる花です。

20年以上前、お正月になると毎年行っていた伊豆の露天風呂に咲いていた椿。
毎年、その椿を見ながら「ああ一年経ったのだなあ」と自分の来し方行く末に思いを馳せていました。その頃仕事が激務で内省する時間はほぼ無かった毎日でしたので、お正月のその椿が、自分にとっては今、自分は生きているんだということを思い出させてくれる花でした。

またある時は、山中ハイキングで見かけた大きな藪椿の木、見事に花をつけ、素通りできないほど圧倒的な存在感。立ち止まり花に見とれ、鳥の声に耳をすませ、呼吸を整え、その空気感に浸ったことを赤い花の色彩と共に覚えています。どこで見たかはよく覚えていないのに・・・・。

そして今、家族が入院している都心の病院に毎日通う道すがら、街路樹として植えられているサザンカを見て、今は大変だけれどきっと数年後には思い出になってるんだろうと思っています。

作品は小笠原明代さんの日本画「花巡りー椿と山茶花」S3号です。この作品と小笠原さんの文章が12月21日の埼玉新聞に掲載されました。
作品のオリジナルは、伊勢丹浦和店美術画廊の常設コーナーでお正月からふた月ほどご覧になれます。

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