毛利元郎 絵画展「イタリアの望み」 SPERANZA IN ITALIA
夏のアッシージ 油彩
毛利元郎 絵画展「イタリアの望み」 SPERANZA IN ITALIA
期間: 2012年2月8日(水) 〜 2月13日(火)
時間: 10時〜20時 (最終日は16時まで)
場所: 伊勢丹浦和店 7F=美術画廊
昨年は毛利元郎の個展を3回、ギャラリー上原と伊勢丹浦和店、伊勢丹松戸店で扱いました。
明らかにその前の年とも違う筆致と光の描写。そして年の後半においても、それらはまた変化を遂げていたと思います。
絵の魅力ってなんだろうか、と彼の作品を扱う度に思います。
今まで随分絵を見てきたけれど、絵が欲しいと思ったのは初めてだ、とおっしゃる方。いつも画廊は素通りしていたけれど、この絵の前は素通りできなかったという方。そして期間中二度三度と足を運び、彼の絵を前にして涙を流す御婦人。昨年の展覧会でも沢山の新しい出会いがありました。
「描きたい情熱が溢れてつい描き込み過ぎてしまう、止まらなくなる、でも写実過ぎてしまうと伝えられないものがある。」
もう一つの言葉があります。
「僕はイタリアにいる間は、満ちたりすぎて描けない。帰国して鼓動が治まってから、やがて筆を取っておずおずと描き始める。」
画家のこの二つの言葉は、彼の作品の真実を表しているかもしれません。
彼の絵は一見写実的な風景画のようでありながら心象風景です。夏に借りたアパートのキッチンに転がされた果実たち、その後ろの窓から見えるイタリアの蒼い空。トスカーナの小さな町の教会と何かが起こりそうな雲のうねり・・・それらは彼の体験であり、ある種の象徴であり、そして追憶です。
絵中には人物は登場しない、にも関わらず鑑賞者はそこに人の息吹を感じ、万物に対する画家の愛情を実感することが出来ます。そして鑑賞者自身までもが、その絵空間に受け入れられる存在であるということを理解するのです。聖母の見目形はそこになくても、鑑賞者は今ここに立つ自分が許され愛される気がするのかもしれません。作品と画家自身との間に欺瞞が無いから、画家の想いと不器用すぎる位に真摯な愛が、きっと私達には伝わるのでしょう。
画家は期間中毎日来場します。
ぜひご高覧ください。
ギャラリー上原 岡村晶子
毛利元郎 略歴
1963 東京生まれ
1970- 安藤哲夫画伯に師事
1988 東京造形大学 造形学部美術科卒業
1992-93 イタリア滞在
1994- 毛利絵画教室 (横浜)
2007・2010 イタリア取材
〈主な個展〉
ギャラリーガゼボ(藤沢) 2003-現在まで毎年
ギャラリー上原 2004・06・07・10・11
伊勢丹浦和店 2007-現在まで毎年
伊勢丹松戸店 2010・2011
その他個展・グループ展多数開催
コメント