日本画では、鉱物を粉砕して作られた岩絵具が使われます。岩絵具は粒子が粗く、独特の質感と深みのある色彩が特徴で、日本画の色彩表現を支える重要な画材です。
岩絵具にはさまざまな色があり、青、緑、赤、土色、紫など多くの種類が存在します。それぞれの色には特徴があり、日本画ではモチーフや画面の雰囲気に合わせて使い分けられます。
ここでは、日本画で使われる岩絵具の中から、代表的な色とその特徴を紹介します。

岩絵具とは
岩絵具とは、天然の鉱物を砕いて粒子状にした顔料で、日本画で使われる伝統的な絵具です。膠(にかわ)と混ぜて使用し、粒子の大きさによって色の見え方や質感が変わります。
天然の鉱物から作られる天然岩絵具と、人工的に作られた色材を砕いた新岩絵具があり、作品によって使い分けられています。
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代表的な岩絵具の色
岩群青
岩群青は、日本画を代表する青色の岩絵具です。藍銅鉱を原料とする顔料で、深みのある鮮やかな青色が特徴です。空や水などの表現に使われることが多く、日本画の青色を象徴する色の一つです。

白群
白群は群青系の中でも淡い青色の岩絵具です。柔らかな青色で、空や遠景などの表現に使われます。濃い青色の岩群青と組み合わせて使われることもあります。

松葉緑青
松葉緑青は、日本画で使われる緑色の岩絵具です。松の葉のような落ち着いた緑色を持ち、植物や背景の表現に使われます。

辰砂
辰砂は硫化水銀からなる鉱物顔料で、重厚感のある赤色顔料です。古くから東洋の絵画や工芸で使われてきた伝統的な色です。

岩緋
岩緋は、日本画で使われる赤系の岩絵具の色名で、やや朱色に近い鮮やかな赤として扱われることが多い色です。辰砂と同じく強い赤色ですが、辰砂は鉱物顔料としての重厚感や深みを持つのに対し、岩緋はやや明るく軽い印象の赤色になることが多いとされています。

岱赭
岱赭は鉄を含む土から作られる赤褐色の顔料です。岩や土、大地の表現に向いており、落ち着いた色調が特徴です。

黄樺
黄樺は黄褐色系の岩絵具で、温かみのある色合いが特徴です。背景や装飾などに使われることがあります。

瑪瑙(天然瑪瑙末)
瑪瑙は石英系鉱物を粉砕して作られる顔料で、淡い桃色や肌の色のような柔らかな色を持つ岩絵具です。人物の肌や花びらなどの表現に使われることがあります。

美岩紫
美岩紫は紫系の岩絵具で、落ち着いた深みのある紫色が特徴です。花や衣装などの表現に使われ、日本画の色彩に上品な印象を与えます。

岩絵具の色を使い分ける理由
日本画では色の種類だけでなく、粒子の大きさや質感も重要な表現要素になります。同じ色でも粒子の大きさによって色の見え方が変わるため、粗い粒子と細かい粒子を使い分けることがあります。
また、色によって適したモチーフがあります。青は空や水、緑は植物、赤は花や装飾、土色は岩や大地など、それぞれの特徴を活かして使われます。
まとめ
岩絵具は、日本画の色彩を支える重要な画材です。鉱物を原料とするため、独特の質感と深みのある色彩を持っています。
- 岩群青:深い青色
- 白群:淡い青色
- 松葉緑青:落ち着いた緑色
- 辰砂:重厚感のある赤
- 岩緋:鮮やかな赤色
- 岱赭:赤褐色の土系顔料
- 黄樺:温かみのある黄褐色
- 瑪瑙:淡い桃色の岩絵具
- 美岩紫:深みのある紫色
それぞれの色には異なる特徴があり、日本画では用途に応じて使い分けられます。岩絵具の色を知ることで、日本画の色彩表現の奥深さをより理解することができるでしょう。




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