白紙も模様のうちなれば、心にてふさぐべし(土佐光起)
日本の絵の特徴はいくつかあります。たとえばアシンメトリー(左右非対称)な画面構成なんかそのひとつですね。他にも、たとえば余白に美しさを見い出すということもあります。
土佐派を代表する画家、土佐光起(1617~1691)の有名な言葉に「白紙も模様のうちなれば、心にてふさぐべし」というものがあります。「心にてふさぐべし!」これは日本人の心を表す象徴的な言葉だと思います。某政治的な事象から、近年日本語としてとてもポピュラーになった「忖度」という言葉や、何かで何かを「みなす」という文化、これらすべて土佐光起の言ってることに通じるものがあるんじゃないか、と私なぞは感じます。
師匠と弟子の間に扇子を1本置いて、そこに明らかな区別を演出する。屏風があればそこから先は別な空間とみなす。障子や襖があれば、たとえ隣の客の話が丸聞こえでその内容に閉口しても「聞かなかったこと」にする・・・・そういう文化で私たちは古代から生きてきました。
余白を心でふさぐ、余白に美を見い出す日本人の感性は、間があればそこを埋めなくては気が済まない、手抜きでは、と思ってしまう欧米のそれとは明らかに違います。最近のファッションでいう「抜け感」も、近い意味があるのでは、と個人的に推測しています。ファッションに詳しい人、教えてください!
(ライター晶)
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