辻の男

昨日、納品された作品です。

安齊麻美子の木版画、
「しばらく、そっと」
(木版リトグラフ・水性木版併用 51x91cm エディション5枚シート価格36,000円)。

彼女の今年の個展で、惚れてしまい自宅用に購入しました。
もともとは額装してあったものですが、我侭を言って、シートをパネル貼りをしてもらいました。
連れて帰って、パソコンデスクの上に飾ろうと思っています。

蒼く、力強い二本松に、威風堂々たる門構えの建仁寺(京都)、そしてその向こうに見えるのは・・・・・・。これは建仁寺をモデルにしていますが、この光景は言うまでもなく作家のフィクションです。

先日、たまたま読んだ民俗学の宮田登先生のご本には、辻や橋という、人の往来が激しかったり、何かと何かがクロスしているポイントは、不思議なことが起こる場所となり得る・・・というようなことが書いてありました。本を読んだのはこの作品を購入した後だったけれど、自分がこの作品に惹かれる理由が少し分かるような気がしました。

子供の頃から、好きだったんですよねえ。国境・県境・峠・・・・・。
国境の長いトンネル(関越トンネルとか)を越えるとまるっきり風土とか習慣が異ったり、自分の故郷から山を越えると、文化圏が微妙に違ったり。海外旅行では陸上での国超えにとても興奮したり。
因みにマニアックなところでは国道352号線なんていう、とんでもなく過酷な国道があるんですが、その福島と新潟の県境がとてもいい!誰も通らない細い国道で会津と越後の国を分けているのは、赤い橋。この352号線は走破するのに丸一日くらいかかる道なんですが、しかもあまりにもクネクネ道で車酔いが酷くなるんですが、過去2回、うっとりと走破しました。

さて話を戻すと、この男がいる世界は明らかに異界で、この門はその異界との「境界」なんです。

今日からきっと、この作品はうちで「辻くん」と呼ばれることでしょう。

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