日本画とは?特徴・歴史・画材・有名画家など簡単にわかりやすく解説
日本画とは、日本の伝統的な画材と技法を用いて制作される絵画のことです。明治時代に、西洋画(油絵)と区別するために「日本画」という言葉が使われるようになりました。
日本画では、岩絵具などの天然顔料を膠(にかわ)と呼ばれるバインダー(糊・接着剤)で溶き、和紙や絹などの支持体に定着させて描きます。このような自然素材を用いた技法が、日本画の大きな特徴です。
この記事では、日本画の特徴、歴史、画材、有名画家をわかりやすく解説します。

日本画とは
日本画とは、日本の伝統的な画材と技法を用いて制作される絵画の総称です。明治時代に西洋画(油絵)と区別するために「日本画」という言葉が使われるようになりました。現在の日本画では、岩絵具、胡粉、和紙、絹などの素材が使われることが多く、日本独特の繊細な色彩表現が特徴です。
日本画の特徴
「日本画」は、主に以下のような特徴から定義されます。
- 膠をバインダー(糊・接着剤)に用いて、顔料を定着させる
- 岩絵具など天然顔料を使用する
- 和紙や絹などの支持体に描かれる
- 余白や線を重視する日本的な美意識
以下で、少し詳しく見ていきます。
膠をバインダー(糊・接着剤)に用いる
日本画の大きな特徴は、膠(にかわ)を用いて支持体に顔料を定着させて描く点にあります。岩絵具や水干絵具などの顔料は、水だけでは紙や絹に定着しません。そのため、日本画では膠を溶かした液体を接着剤として使い、顔料を支持体に固定します。膠は動物の皮や骨から作られる天然の接着剤で、日本画だけでなく、仏画や伝統的な絵画制作でも古くから用いられてきました。近年では、保存性や扱いやすさの観点から、合成膠(人工膠)などの材料が使用される場合もあります。このように、日本画は岩絵具、和紙や絹といった支持体、そして膠を組み合わせて制作される、日本独自の絵画技法といえます。
絵の具におけるバインダー(展色剤) 顔料(色粉)をキャンバスや紙に定着させ、膜を作る接着剤・糊の役割をする成分です。アクリル樹脂(アクリル絵の具)やアラビアガム(水彩絵の具)などがこれに該当し、絵の具の性質や定着力を決定する重要な要素です。油絵(油彩画)のバインダーは乾性油で、主にリンシードオイルやポピーオイルが使われます。日本画では上記のように、膠・人口膠が使用されます。
岩絵具を使う
日本画では、鉱物を砕いて作られた岩絵具を使用します。粒子の大きさによって色の見え方が変わり、独特の深みのある色彩が生まれます。
和紙や絹に描く
支持体には和紙や絹が使われることが多く、柔らかく繊細な表現が可能になります。
線と余白を重視する
日本画では、余白の美や簡潔な線を重視する表現が多く見られます。これは日本美術の美意識の大きな特徴の一つです。
日本画の画材
日本画では、伝統的な画材を用いて制作されます。これらの画材は西洋絵画の油絵具とは異なり、自然素材をもとに作られているものが多いのが特徴です。
岩絵具
岩絵具とは、日本画で使われる代表的な顔料で、天然の鉱物を細かく砕いて作られます。粒子の大きさによって色の見え方が変わるのが特徴で、粒子が粗いほど光を反射しやすく、独特の輝きや深みのある色彩が生まれます。岩絵具そのものには接着力がないため、日本画では膠(にかわ)を溶かした液体と混ぜて使用し、和紙や絹などの支持体に定着させて描きます。現在では天然鉱物だけでなく、ガラスや金属酸化物などを原料とした人工岩絵具(新岩絵具)も作られており、豊富な色彩表現を可能にしています。
水干絵具
水干絵具は、土や鉱物などから作られる顔料で、日本画の下塗りや彩色に使われます。胡粉と顔料(場合によっては染料)を使用しています。岩絵具より粒子が細かく、やわらかい色合いを表現することができます。
胡粉(ごふん)
胡粉は、牡蠣の殻などを原料として作られる白色顔料です。日本画では白の表現や下地として広く使用され、絵具に混ぜて明るい色調を作る際にも使われます。
膠(にかわ)
膠は、日本画で顔料(岩絵具・水干絵具など)を支持体に定着させるために使われるバインダー(糊・接着剤)の役割を果たします。動物の皮や骨から作られ、岩絵具や水干絵具に混ぜて使用します。膠が乾燥することで、顔料が和紙や絹にしっかりと定着します。近年では、扱いやすい人工膠(合成膠)も使用されていますが、膠を用いて顔料を定着させる技法は、日本画の基本となる重要な特徴です。
日本画の技法
日本画では、顔料(岩絵具)を膠で溶き、水で濃度を調整しながら描きます。顔料は天然の鉱物や土、貝殻などを粉末にしたもので、粒子の大きさによって色の見え方が変わります。水干絵具は一般的に岩絵具よりも安価で、岩絵具で描く前の下地に使用されます。もちろん仕上げに使用することもあります。
また、金箔や銀箔、雲母などを用いた装飾的な表現も日本画の特徴の一つです。
日本画と油絵の違い
日本画は岩絵具などの天然顔料と膠を使い、和紙や絹などに描く日本の伝統的な絵画です。一方、油絵は油絵具を用い、キャンバスに描く西洋絵画です。
材料や技法、表現方法が大きく異なり、それぞれ独自の魅力があります。
日本画の歴史
明治時代
「日本画」という言葉は、明治時代に西洋画(油絵)と区別するために生まれました。西洋文化が日本に流入する中で、従来の日本の絵画を守り発展させる動きが起こり、日本画という概念が広まりました。岡倉天心やフェノロサなどの思想家が日本美術の価値を再評価し、横山大観や菱田春草などの画家が近代日本画の発展に大きく貢献しました。
近代日本画
横山大観(よこやま たいかん 1868年9月18日 – 1958年2月26日)、菱田春草(ひしだ しゅんそう 1874年9月21日 – 1911年9月16日)、竹内栖鳳(たけうち せいほう 1864年12月20日 – 1942年8月23日)などの画家が活躍し、日本画は大きく発展しました。
現代日本画
現在でも多くの作家が日本画を制作しており、伝統技法を基盤としながら新しい表現が生まれています。現存日本画家の展覧会は、銀座や街のギャラリー、各都市にある百貨店ギャラリーなどで毎週のように開催されています。若手の画家を中心に、画家自ら会場で作品解説してくれることもあります。多くは入場無料でアートを楽しむことができます。
現在の日本画は、美術館で鑑賞するだけでなく、百貨店の美術画廊や街のギャラリーでも身近に触れることができます。実際の作品を見ると、岩絵具の粒子による輝きや、胡粉のやわらかな白、膠による独特の定着感など、写真では伝わりにくい魅力を感じやすくなります。
有名な日本画家
- 竹内 栖鳳(たけうち せいほう 1864年12月20日 – 1942年8月23日)
- 横山 大観(よこやま たいかん 1868年9月18日 – 1958年2月26日)
- 菱田 春草(ひしだ しゅんそう 1874年9月21日 – 1911年9月16日)
- 上村 松園(うえむら しょうえん 1875年4月23日 – 1949年8月27日)
- 東山 魁夷(ひがしやま かいい、1908年7月8日 – 1999年5月6日)
日本画を鑑賞できる美術館
日本画の名作を鑑賞できる美術館として、東京の山種美術館がよく知られています。近代日本画を中心に、多くの名品を鑑賞できる美術館です。
そのほか、東京で美術館巡りをしたい方は、東京の美術館おすすめの記事もあわせてご覧ください。
日本画に関するよくある質問
日本画と油絵の違いは?
油絵は油絵具を用いる西洋絵画で、日本画は岩絵具などの顔料と膠を用いて描かれる日本の伝統的な絵画です。
日本画は何に描いてるの?
和紙や絹などの支持体に描くことが一般的です。
まとめ
日本画は、日本の伝統的な画材と技法によって制作される絵画で、独特の色彩と美意識を持っています。
近代から現代にかけて多くの作家が活躍しており、現在でも日本美術の重要なジャンルとして発展し続けています。
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また、福福堂では現役の日本画家への取材を行い「なぜその作品描くのか?」理由とアーティストの想いに迫っています。




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