「この人ここにもいる、そこにもいる」絵画における時間の表現Ⅰ
絵画という二次元の画面に、遠近法という視覚を採り入れた三次元表現があることは有名ですね。日本でも西洋画の影響を受けて、江戸時代後期くらいから遠近法を採り入れる画家が出てきました。
更に、時間という四次元の表現を採り入れたらどうなるか?!
過去にこの試みをした作家や職人は、たくさんいます。
絵巻はくるくる巻きながら、右から左へストーリーを追っていくものです。一巻の中に同じ登場人物が何度も現れ、鑑賞者は、「どうなるんだろうこの話?!」とくるくるしながら眺めます。今で言う映画やマンガの表現に繋がるものだと思います。
法隆寺の国宝「玉虫厨子(たまむしのずし)」の中に描かれている「捨身飼虎図」は、「お釈迦様が、お腹を空かせた虎の親子に我が身を差し出す」というショッキングなストーリーですが、それが一つの画面の中に描かれています。
一つの画面の中に、同じ登場人物が何度か登場することを異時同図と言います。
物理学の法則に、同じ物体は同時に2点に存在できないというものがあるそうですが、異時同図法だと画面の中でシッタルッタ王子が、崖の上・飛び降りてる最中・崖の下で虎にわが身を与えている・・・と三回登場しています。
アインシュタインの相対性理論だと、時間の流れが違う2つの視点から見たら、あるいはそう見えるのかもしれません。。。。相対性理論に詳しい人、教えてください。
(ライター晶)
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