今日4月8日はお釈迦様が誕生された日、花まつりの日です。
なもので、前から行きたいと思っていた半蔵門ミュージアム「修験と密教の美術」展に行って来ました。
ここは2018年にオープンした新しい美術館です。
目玉は、運慶作と言われている「大日如来坐像」。
なんと太っ腹なことに無料で公開しています。
この大日如来坐像は、2008年にニューヨークのクリスティーズで、三越を通じて、宗教法人である真如苑が12億5000万円で競り落としたものです。
当時ニュースでも大きく取り上げていましたので、記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
さてこの大日如来坐像、元々は足利にある樺崎寺という足利氏の氏寺に奉られていたものと言われています。どういう経過があったのかは分かりませんが個人の手に渡り、その後、運慶研究の第一人者である山本勉教授の調査によりどうやら運慶作の可能性があるということが分かったそうです。その個人所有者は「そういうことなら」と国への買取をお願いしたらしいのですが、値段の折り合いがつかず、所有者は「じゃあいいよ。重要文化財では無いんだな」(重要文化財は海外に販売できないので)と言うことで、クリスティーズのオークションに出してしまいました。
そして前述の通り、真如苑が競り落として海外流出を防ぎ、半蔵門ミュージアムに収蔵されているわけです。
噂には聞いていましたが、現物を見てその美しさに心打たれました。
本当に美しい。写真では分からないです。この美しさは。
高さは61㎝ほどしかなくそれほど大きくないのですが、上品に光る漆箔と何よりも優美なそのお顔。すっと通った鼻と切れ長の玉眼。本当に魅入ってしまいます。
お恥ずかしながら、運慶と言えば筋肉モリモリのリアリズムという先入観があったので、この優しい美さには少し驚きました。恐らく1193年くらいの作品ではないかと言われていますので、運慶が40代くらいのときのものでしょうか・・・?
半蔵門ミュージアムでは、この仏像をX線撮影したり、ファイバースコープで中を確認したりした記録も展示されています。それによると、仏像が印を結んでいる手にちょうど位置する体内には、五輪搭という搭の形をした板や、水晶の入れ物、水晶の球が入っているようです。
この大日如来坐像は、2015年に国の重要文化財に指定されました。
運慶作かどうかは、まだ議論があるそうですが、今後、どこからか資料が出てきたり、修復の際の新たな発見があったりする可能性もありそうですね。
楽しみにしたいと思います。
「修験と密教の美術」展は7月9日まで。
大日如来坐像は、常設展示(貸し出し中以外)中です。
(ライター晶)
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