竹中平蔵氏・菊地正俊氏・堀古英司氏のおはなし

経営者の端くれとして、日本経済&世界経済が気になる今日この頃。
投資家としてではなく、経済活動を行うちっぽけな一人として、今の動向とこれからについて識者のご意見を伺っておきたいっ、と思って経済セミナーを申し込んでおいたところ、うっかり二つのセミナーを同じ日に重複申し込みしてしまった・・・。

仕方がないのでどちらにも参加。
以下、ほおっておくと忘れてしまうため備忘録。(素人のため、間違っていたらすみません。)
青字は感想。

まずは両国国技館にて。

最初の講演は、竹中平蔵氏による「どうなる日本経済!?アベノミクスの行方」

〇ギリシャについて

- 働かないギリシャ人 VS ドイツ・フランス という構図が取り沙汰されているが、ギリシャだけのせいでもない。そもそもユーロ通貨の統一に無理があった。こうなることは、統一の時から目に見えていた。経済力が違うのに、それぞれに通貨コントロール権が無いのだから、矛盾が生じるのが当たり前。
それを調整するしくみが必要だった。

- 地政学的なこともある。アメリカの基地がギリシャにある。プーチンさんの秋波もあるが、ロシアにちょっかい出されるのは脅威。

- EUは結局、ギリシャを切り離すことは出来ないのでは。トルコの問題もある。

- それにしてもEUもしたたかである。ギリシャの国債を保有していたのは、ドイツとフランスの民間銀行だったが、ギリシャのオフバランスな損失が明らかになってからの3年間で、国債をせっせと公的バンクに移して、今に備えた。

〇 上海株について

- 上海株は、ここ数日で3割下がった。しかし3割さがっても、その前1年で2.5倍上昇したものだから。

- 何より問題なのは、当局が売買を制限したこと。自由に売買できないのは、そこはマーケットではない。上海マーケットの未熟さが露呈してしまったと言える。

- 経済の成長に必要な条件は二つ。政治の安定と法の支配である。

- コマツのブルトーザーにはGPSが装着されていて、それによると、最近中国の地方での工事が行われていない。もしかしたら習近平による恐怖政治が影響している・・・?

〇 日本経済

- 消費税8%導入後、下がった経済成長率が、緩やかに回復基調にある。

- 有効求人倍率が東京では1.7倍という高数字。

- 年金マネー&郵政マネーがマーケットに出て、株の下支えをすると言っている。

〇 骨太の方針2015

- 経済再建が、財政再建よりも先という優先順位が明解になった。これは正しいと思う。

- 社会保障抑制と財政再建を調整する案がまだ明解ではない。富裕層の年金策の見直しが必要だと思う。

- 所得税の抜本的改正が必要かも。あまり知られていないが、日本は高額所得者には税負担が大きいが、諸外国と比べても低所得層の税負担はかなり薄い。

- 「経済特区」の存在。例えば成田市に医学部を持つ大学を新設する。これは三十数年ぶり。今まで医師会が反対していて医者の数は制限されてきた。しかし、そのお蔭で深刻な医者不足。特に東日本が酷い。
成田市に医大を持つことで、メディカル・ツーリズムなどの需要が見込まれる。

- 「コンセッション」 例えば仙台空港の経営を民間に移譲する。ヨーロッパの空港は、例えばヒースローなども民間が経営している。そのほうがうまく行く。オーストラリアのゴールドコーストも成功例の一つ。空港を民間が経営することにより、例えばシドニーなどの大学を呼び込み、講義をする教授が飛行機で移動しやすいなどのアイデアを成功させた。これから日本でも、仙台を皮切りに大阪・関空などが検討されている。
今まで管制官などは公務員だったため、公務員が出向して引き継ぎできるように、公務員法を改正する。

- 「コーポレートガバナンス」 今の日本の企業統治は、外国人投資家に評判が悪い。経営能力の無い経営者がいつまでも居座ることを許すのは、取締役の比率にも原因がある。社外取締役を最低2人入れることなどを織り込んだガバナンスの改正を見込む。

- これも「経済特区」。生産年齢人口がどんどん減っていく日本だが、移民への抵抗は大変多い。移民という形ではなく、ゲストワーカーを迎える特区を用意。例えばハウスキーパーなどに外国人を雇えるとか・・。その結果、女性の就業率が高まるかも。

- アベノミクスの三本の矢 金融・財政・成長のうち、成長戦略は今まで評判が悪かったが、徐々に見直されてきている。

- アメリカの利上げは12月・・・?

- 骨太の方針 成長戦略 全文は霞が関文学である。レトリックに微妙な表現がある。

竹中氏、今まであまり好きではなかったけれど、ひじょーに話がうまい。政府側の人間としてのポジショントークが多少入っているのかもしれないけれど、引き込まれるし明快。
年金とか郵政がマーケットにマネーを投下していることについて、これってまた「消えた年金」にならないのだろうか・・・と不安に思った。
しかしそれがデフレマインドなのかもしれない。

 
お昼を挟んで、今度は日本橋で二つ目の講演を聴く。

みずほ証券 チーフストラテジスト 菊地正俊氏
「日本株ストラテジー」

〇 先週一週間で、外国人による先物売りが8千億円あった。その後は買い戻さねばならない。

〇 中国とギリシャは、最悪を脱した。

〇 甘利大臣 TPP交渉合意するだろう。

〇 これから発表になる日本企業の決算は、思ったよりは良くない可能性がある。

〇 9月末の日経平均は21,000円くらい・・?

〇 12月には20,000円・・・? 来年の半ばまでは強気相場が続くのではないか。22,000円から23,000円くらい。消費増税をその後織り込むのでは?

〇 しかし下がったとしても1割~2割くらいではないか。日本企業が自社株買いを続けている。押し目になったら買うのでそれが下支えになるのでは。

〇 2020年のオリンピックにかけては好景気。日経平均30,000円・・・?

〇 日本郵政の上場を政府は成功させたい。配当は2%くらいではないか。

〇 中国の4月~6月のGDPは、7%を切るかもしれない。でもそもそも数字自体が今一つ信憑性に欠ける。しかし成長鈍化の傾向は間違いない。

〇 しかし成長鈍化していると言っても、経済規模は日本の2倍。まだまだ良い。

〇 上海マーケットに関し、中国株崩壊の前に、外国人投資家は売り抜けている傾向がある。今は買い戻しの動きがある。

〇 日本株に関して、今買っているのは、公的資金である。

〇 年金は、あと1.5兆くらい日本株を買う余裕があるのではないか。(公的資金の25%まで買うと推測されている。いつ25%を超えるか、また超えたかというと、まだもう少し予算があるのではという見方) ← 逆にそれが終わった時が怖い

〇 日本株は、公的資金と企業の自社株買い、日銀のETF購入が下支えになっている。

〇 安倍さんは地方創生を進めたいと思っている。これから地銀の再編が進む。

〇 安倍さんは、設備投資を企業に薦める。

〇 TPPがうまくいけば10年は効果がでる。

〇 東京のオフィス空室率が5%以下になれば、不動産上がるのでは?

〇 人民元は日本円に対して5割以上、上昇した。中国人から見たら、日本の物価は半分に感じる。

〇 アメリカの自動車販売は、今がピークではないか。

日経平均の予想などもズバっと言ってしまって凄い。

ここから再び、両国の国技館にトンボ返りする。
そして15時から聞いた講演は、
ホリコ・キャピタル・マネジメントCEO 堀古英司氏
「2015年後半に向けての米国経済・株式相場の見通し」

株式相場はともかくとして、米国景気はどうなるのか気になって、両国まで戻ってしまった次第。

氏曰く 「今が株式投資に絶好のチャンスである。投資に必要な三つの条件が揃っている」

<その1 市場が怖がっている。>

〇 ギリシャと中国の問題。しかし最悪は脱した。

〇 ギリシャはユーロの仕組みに無理があった。最初の10年くらいは、逆によくうまくいっていたと思う。通常、緊縮財政に陥ったら通貨の切り下げを図るのに、通貨のコントロール権が無いので、どうにもならない。ギリシャにも責任はあるけれど、通貨の統合が無理だった。
← それでは、つい最近ユーロになった東欧の国とかはどうなるんだろー。クロアチアとか・・。
 
<その2 中央銀行が緩和政策をとっている。>

〇 中央銀行とは闘うなという格言がある。

〇 アメリカの利上げが、皆の関心の的だが、そう簡単にはいかないだろう。景気がいいからと言ってイエレンさんが利上げをしようとしても、そうすると他の新興国からデフレが輸出されてしまう。

〇 6月に利上げするのではないかと言われていた。しかし無かった。9月という予想もされている。

〇 アメリカの利上げは9年半ぶり。市場はその利上げを相当に織り込み済み。氏曰く2年分くらい先取りしているのではないか。

〇 FOMC(FRBの意志決定機関)の予想では3.5%だけど、先物債権市場では2.5%くらい。。。? 実際にそれほど利上げ幅ではないことが明らかになった瞬間、株価は上ぶれするだろう。

〇 ドル円相場も利上げを織り込みすぎ。氏曰く15円くらい乖離している。もしかして110円割れがあってもおかしくない・・?

<その3 株価評価が低い>

このあたりの説明が、ちょっと私の知識が低すぎて理解が足りなかった。
要は、配当とか金利から考えると、株価がまだ低すぎるということらしい。。。。
アメリカ市場での航空株や、大手ハイテク株がお薦めとのこと。

氏曰く 「リスクを取らないことのほうが、リスク」の時代とのこと。

以上

ここから後は全体の感想。

それにしても美術業界って、景気が悪くなると真っ先に支出の対象から切られてしまい、景気がよくなってもそこに資金が回るのはかなりの後半。
つくづく厳しい業界だなあって感じる。

地方創生で「美術特区」や「アーティスト特区」なんて作ってくれないかしら?
これから2020年のオリンピックに向けて、クールジャパンを発信するのに、ピッタリだと思うんだけど・・。

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