木をタテに使う『板目木版画』、木を輪切りに『木口木版画』
小学校の授業で木版画を彫った経験のある方は多いのではないでしょうか。
下書きをしているうちはいいけれど、彫刻刀を持って彫り始めると、手が滑って余計なところまで彫ってしまったり、彫刻刀の刃の特長をうまく使い分けられなかったりで、『根気がいるなあ~』と感じた思い出があります。
日本が誇る浮世絵は板目木版画(いためもくはんが)の技法です。板目木版とは木を縦に切った板目の部分に彫りを行うものです。木が豊富で丈夫な和紙もあり湿度も高めな日本は、板目木版画にぴったりの風土でした。
時代が下がって私たちが授業で使った板は、ほぼシナベニヤです。柔らかくて彫りやすい。また一枚板とは違って反りにくく扱いやすいので、現在は重宝されていますね。
さて板目木版画に対して、木を輪切りにした面に彫る技法を、木口木版画(こぐちもくはんが)と言います。
硬くて年輪が詰まった状態のほうが彫りに適しているので、柘植や椿などが用いられます。ビュランという彫刻刀を掌で押すようにして彫りますが、とても精緻な表現ができるのが特長です。
合板とはまた異なり、木の輪郭までもその形を活かして摺り取ることができ、木の歴史やその霊性を感じることができるのも木口木版画の素晴らしい側面です。
ライター・晶
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