中野信子先生 脳科学セミナー

非常に多忙な今日この頃ではあったのですが、本日、脳科学者の中野信子先生のセミナーを拝聴して参りました。

中野信子(なかの のぶこ) 脳科学者、医学博士。
東京大学工学部卒業後、2004年東京大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程修了。
2008年東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。
2008~2010年まで、フランス原子力庁サクレー研究所で研究員として勤務。

というすんごい経歴の先生です。
私はBSの「英雄たちの選択」に出てきて、ちょっと過激なご意見をおっしゃる先生が好きです。

今日は「ビジネスに活かす」ということで、2つの脳内物質について話してくださいました。

ひとつ目 – オキシトシン

これは愛情ホルモンとして一時話題になったホルモン。
親近感を感じるホルモン。
ダジャレを言ったり(!)ボディタッチをしたりすることが、親近感を高めることに役立つそうです。

またチラシなどもかっこ良く作り過ぎると、親近感が無くなり、集客効果が減るそうです。おじさんが手書きしたようなチラシが、親近感があって「行ってみようか」ということに繋がるそうです。なるほど!

またこのオキシトシンを外部から投与すると、カジノなどで投資する金額が平均して二倍になる。
二倍!?それは凄いです。(百貨店は、このオキシトシンをエアコンに乗せて噴霧すべきですね。きっと犯罪だけど。)

反面デメリットもあります。

そのうちの一つは、親近感の反対側、その排他性にあるそうで、仲間以外に対する攻撃性が増すこと。
そしてこのオキシトシンは、陣痛の際に多量に分泌されるホルモンでもあり(陣痛促進剤にも使われるとか)、出産後のメス(女性)は哺乳類の中で一番恐ろしい存在になるのだそうです。。。確かに出産前後にされたことは一生忘れないほどの恨みになるというし、子育て中の熊なんかに万が一出会ってしまったら・・・・南無阿弥陀仏・・・取り扱い注意ですね。

もう一つのデメリットは「妬み」の感情が増すこと。。。だそうです。因みに「妬み」がより強いのは、実は女性よりも男性だそう。
(これは組織社会で生きてきた経験則で私も分かります。)
男の妬みは恐ろしく、例えば同僚が自分より早く出世すると非常に妬み「引きずり落としてやりたい」と思いますが、その同僚が何かで失脚したりすると、それは「快感」になるそうです。報酬系の脳内快感になるとのこと。男の妬みはそれほど怖い。あな恐ろし。

ふたつ目 – セロトニン

「セロトニン」は不安を和らげる作用がありますが、女性は男性の2/3しか分泌されないそうです。女性の方が不安を感じやすい脳になっている。これは性差であり、女性は未来のリスクをいち早く捉えてそれに備えたいと思う脳になっているとのこと。

また人間は、一度分泌したセロトニンを使った後にリサイクルして又使うことができるそうで、それを使うことができる能力を「セロトニン・トランスポーター」という。日本人は遺伝的にその能力があまり無く(S型という)、不安を感じやすい性格の方が多いとのこと。日本人の98%の人がこのS型だそう・・。

アメリカの方はセロトニン・トランスポーターが割りと多く(L型という)、南アフリカに至ってはもっと多い。L型の人は、あまり不安を感じずにリスクを取って大勝負することができる。大負けもする。

対して日本人は心配性の国。
この心配性の性格は、国民の貯蓄率の高さやきめ細やかな工業製品などに反映されているようです。
貯蓄率は高いけれど、10億以上の富裕層の数は世界的にもそれほど多くなく、コツコツと貯めるのに向いている。大勝負は避けたがる。

さて、どうしてこのS型が多くなってしまったのか?
S型遺伝子が、ある集団の98%を占めるまでどのくらいの年月かかったかについて、ある社会学者さんが計算したところによると、およそ400年だった。
400年前と言えばちょうど家康が亡くなった頃。
年貢を収めるために、村では協力し合いながら農業を営んでいた。そんな村社会ではスタンドプレーをしてリスクを取り、村を危機に追い込むような性格の人は最も排斥された。

また日本は災害が多い国。
全世界に占める国土の面積はたった0.25%しかないのに、全世界に占める災害被害総額は20%にもなる。
そんな災害を乗り越えられるのは、協力し合いながらリスクを取らない性格のS型の人たち。

それで生き残ってきた人たちの子孫が、今の日本人と言える。

このS型の性格をL型の性格に変えることは出来るのか、というとDNAの塩基配列自体を変えることは出来ないが、「L型に人の行動パターンを真似することにより」L型と同じような働きの遺伝子の動かし方をすることができる(?)とのこと。

セロトニン・トランスポーターとは別な話だけれど、因みにマウスを使った実験では、教育を施したマウスの子供までは、親の知能が遺伝した。しかし孫までは遺伝しなかったとのこと。
そして、知性は母親の卵子から遺伝し、感情の出し方などは父親から遺伝するとのとこ。

なるほど、悪妻は百年の不作というのは、遺伝子的にも実証できることなのかもしれませんね。

なるほどなるほど!!

とてもためになったセミナーでした。

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