東京で常設展が面白い美術館おすすめ7選|何度も通いたくなる名コレクションを解説

東京で常設展が面白い美術館おすすめ7選|何度も通いたくなる名コレクションを解説

東京国立近代美術館。所蔵作品展「MOMATコレクション」では、日本近現代美術の流れをたどることができます。
東京国立近代美術館(MOMAT) 外観 東京都千代田区竹橋

東京には数多くの美術館がありますが、その中でも「常設展が面白い美術館」は、何度訪れても新しい発見があります。企画展は会期ごとの話題性がありますが、常設展やコレクション展示には、その美術館が長い時間をかけて築いてきた「核」があります。印象派、日本近代美術、現代美術、東洋古美術、建築、庭園、都市文化など、それぞれの美術館ごとに強みが異なり、作品の並びから美術館そのものの個性が見えてきます。

常設展は、比較的料金が抑えられていることが多く、企画展ほど極端に混雑しにくい点も魅力です。もちろん人気作品や会期によって混み合うことはありますが、話題の企画展だけを追いかけるよりも、自分のペースで作品を見る楽しみがあります。雨の日に静かに過ごしたいとき、仕事帰りに少しだけ名画を見たいとき、休日に一つの美術館をじっくり歩きたいときにも、常設展はとても向いています。

この記事では、東京で常設展・コレクション展示が面白い美術館を7館に厳選して紹介します。さらに後半では、常設展という枠から少し外れるものの、東京の美術館文化を知るうえで注目したい美術館も取り上げます。

東京で常設展が面白い美術館おすすめ7選

まずは、東京で常設展やコレクション展示が特に面白い美術館を一覧で整理します。美術館によっては、厳密な意味での「常設展示」ではなく、所蔵品を会期ごとに入れ替える「コレクション展」「所蔵作品展」として公開している場合があります。来館前には、公式サイトで現在の展示内容を確認してください。

美術館エリア主な特徴こんな人におすすめ
東京国立近代美術館(MOMAT)竹橋日本近現代美術を大きな流れで見られる日本画・洋画・戦後美術を深く知りたい人
国立西洋美術館上野松方コレクションと印象派、西洋美術の流れモネや西洋美術が好きな人
アーティゾン美術館京橋印象派から現代美術まで高密度都市型美術館で質の高いコレクションを見たい人
東京都現代美術館清澄白河戦後・現代美術と大型展示空間現代アートを体験として楽しみたい人
根津美術館表参道日本・東洋古美術と庭園静かな鑑賞時間を求める人
SOMPO美術館新宿ゴッホ《ひまわり》を原則展示東京でゴッホの名画を見たい人
三菱一号館美術館丸の内赤レンガ建築と19世紀末西洋美術ロートレックやルドン、丸の内の美術散歩が好きな人

この7館は、単に有名な美術館を並べたものではありません。常設展やコレクション展示を通して、その美術館の核が見えやすい場所を選んでいます。日本近代美術ならMOMAT、西洋美術なら国立西洋美術館、都市型の濃いコレクションならアーティゾン美術館、現代美術なら東京都現代美術館、静かな古美術と庭園なら根津美術館、名画一点の強さならSOMPO美術館、建築と19世紀末美術なら三菱一号館美術館です。

初心者ならどこから見るのがおすすめか

東京で常設展めぐりを始めるなら、最初は国立西洋美術館かアーティゾン美術館がおすすめです。どちらも西洋美術の流れが分かりやすく、モネ印象派、近代絵画に関心がある方に入りやすい美術館です。作品の見た目も親しみやすく、「常設展は難しそう」という印象を持っている方でも楽しみやすいでしょう。

目的おすすめの順番理由
美術館初心者国立西洋美術館 → アーティゾン美術館モネや印象派など、親しみやすい作品から入れる
日本美術も深めたい国立西洋美術館 → MOMAT西洋美術と日本近代美術の違いが見えやすい
静かに過ごしたい根津美術館 → 永青文庫庭園、古美術、歴史ある空間を落ち着いて楽しめる
現代アートに触れたい東京都現代美術館作品を空間として体験しやすい

次に訪れたいのが、東京国立近代美術館(MOMAT)です。MOMATは、日本近代美術を大きな流れで見られる美術館です。最初はやや難しく感じるかもしれませんが、日本画、洋画、戦争、都市、戦後美術がつながって見えてくると、東京の常設展の面白さが一段深くなります。

静かに過ごしたい方には、根津美術館が向いています。展示室で東洋古美術を見たあと、庭園を歩くと、作品と空間が自然につながって感じられます。現代アートに触れてみたい方は、東京都現代美術館がよいでしょう。作品を「理解しよう」としすぎず、まずは空間として体験すると入りやすくなります。

東京国立近代美術館(MOMAT)|日本近代美術を知るなら外せない

『道路と土手と塀(切通之写生)』 岸田劉生 1915年 油彩・キャンバス 56.0×53.0cm 東京国立近代美術館所蔵 重要文化財
『道路と土手と塀(切通之写生)』 岸田劉生 1915年 油彩・キャンバス 56.0×53.0cm 東京国立近代美術館所蔵 重要文化財

東京・竹橋の東京国立近代美術館(MOMAT)は、日本近現代美術を語るうえで欠かせない美術館です。常設展にあたる「MOMATコレクション」では、日本画、洋画、版画、彫刻、写真、映像、戦後美術まで、日本の近現代美術の流れを大規模にたどることができます。

MOMATの魅力は、「日本の近代」を作品を通して感じられることです。明治以降、日本は急速に西洋文化を取り入れました。その中で、日本画と洋画はどのように変化したのか。戦争や都市化の中で、美術は何を描こうとしたのか。MOMATを歩くと、日本の近代史そのものが作品として立ち上がってきます。

代表的な所蔵作品としては、岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》があります。代々木付近の風景を描いた作品でありながら、ただの風景画ではなく、土手、塀、道が不思議な密度で迫ってくる作品です。近代日本の洋画が、単に西洋絵画をまねるだけではなく、自分の見ている現実をどう描くかに向き合っていたことが分かります。

MOMATでは、東山魁夷、横山大観、藤田嗣治、萬鐵五郎、松本竣介など、日本美術史で重要な作家にも出会えます。日本画と洋画、戦前と戦後、具象と抽象が並ぶため、一つの作品だけでなく、時代全体の流れとして見ると面白さが増します。

もう一つの魅力は、展示替えによる再訪性です。所蔵点数が多く、会期ごとに展示作品が変わるため、「一回見れば終わり」ではありません。以前見た作品と再会することもあれば、初めて見る作品に足を止めることもあります。常設展の醍醐味である「通う楽しさ」を最も感じやすい美術館の一つです。

MOMATは、来月以降の取材記事とも非常に相性が良い美術館です。作品一点一点の解説だけでなく、「日本近代美術をどう見ればよいか」「常設展で何を感じるか」という視点を持つことで、東京の美術館巡り全体の入口になります。

国立西洋美術館|モネと印象派を常設で見られる

国立西洋美術館(東京都台東区上野公園)。1959年開館。松方コレクションを核に、西洋美術の流れを常設展で紹介しています。建築はル・コルビュジエ設計。
国立西洋美術館 ル・コルビュジエ設計 東京都台東区上野

上野の国立西洋美術館は、西洋美術好きなら必ず訪れたい美術館です。松方コレクションを中心に、ルネサンス以降の西洋美術、19世紀フランス絵画、印象派、彫刻まで幅広く見ることができます。

特に人気なのが、モネ、ルノワール、ロダンなどの作品です。モネの《睡蓮》は、日本で見られる代表的なモネ作品の一つとして知られています。近くで見ると絵具の筆触が見え、少し離れると水面や空気が立ち上がるように感じられます。

国立西洋美術館の魅力は、作品だけではありません。ル・コルビュジエ設計の建築も重要です。美術館そのものが、近代建築として見る価値を持っています。上野公園の自然、東京都美術館、東京国立博物館などと合わせて、美術館エリア全体を歩く楽しさもあります。

常設展としての使いやすさも大きな魅力です。企画展のように「会期中に行かなければならない」という焦りが少なく、何度か訪れるうちに、モネ、ロダン、フランス絵画、宗教画、版画など、自分の好きな分野が少しずつ見えてきます。

『睡蓮』 クロード・モネ 1916年 油彩・キャンバス 200.5×201cm 国立西洋美術館所蔵(松方コレクション)
『睡蓮』 クロード・モネ 1916年 油彩・キャンバス 200.5×201cm 国立西洋美術館所蔵(松方コレクション)

アーティゾン美術館|東京で最も密度が高いコレクション展示の一つ

アーティゾン美術館 東京都中央区京橋
アーティゾン美術館 東京都中央区京橋 Wpcpey投稿者自身による著作物, CC 表示 4.0, リンクによる

京橋のアーティゾン美術館は、東京のコレクション展示の中でも特に作品密度が高い美術館です。旧ブリヂストン美術館の流れを引き継ぎ、印象派、西洋近代絵画、日本近代洋画、抽象画、現代美術まで、質の高いコレクションを所蔵しています。

モネ、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソなど、西洋美術史の重要作家を都市中心部で見ることができる点は大きな魅力です。さらに、日本近代洋画では青木繁《海の幸》のような重要作品も知られています。西洋近代絵画と日本近代洋画を同じ美術館で見ることで、日本の画家たちが西洋絵画とどのように向き合ってきたかも感じられます。

アーティゾン美術館の良さは、単に有名作家を見られることだけではありません。印象派からポスト印象派、抽象画、日本近代洋画へと、近代美術がどのように変化していったのかを比較的コンパクトな動線で感じられます。明るく洗練された空間の中で、名品を落ち着いて見られる都市型美術館です。

東京駅や京橋からアクセスしやすく、仕事帰りや休日の美術館散歩にも向いています。街の中心部にありながら、展示室に入ると空気が静かに変わります。短い時間でも質の高い美術体験をしたい方には、非常に使いやすい美術館です。

『サン=マメス、六月の朝』 アルフレッド・シスレー 1884年 油彩・キャンバス アーティゾン美術館所蔵
『サン=マメス、六月の朝』 アルフレッド・シスレー 1884年 油彩・キャンバス アーティゾン美術館所蔵

東京都現代美術館|現代アートを体験として楽しめる

東京都現代美術館
東京都現代美術館 東京都江東区清澄白河  Souka Kinmei投稿者自身による著作物, CC 表示 4.0, リンクによる

清澄白河の東京都現代美術館は、現代美術を体験できる重要な美術館です。MOTコレクションでは、戦後美術を中心とした収蔵作品を、会期ごとのテーマに沿って紹介しています。

現代アートというと難しそうに感じる方もいますが、東京都現代美術館は比較的入りやすい美術館です。大型映像作品、インスタレーション、写真、デザイン、建築、現代絵画など、ジャンルが幅広く、作品を「読む」だけでなく、空間として体験できます。

現代美術は、単に絵を見るだけではありません。音、映像、光、建築、身体感覚まで含めて鑑賞することがあります。そのため、最初から意味をすべて理解しようとするより、「この空間に入ったとき自分はどう感じるか」を大切にすると楽しみやすくなります。

清澄白河の落ち着いた街の空気も、この美術館の魅力です。カフェやギャラリー散歩と合わせれば、雨の日でも一日ゆっくり過ごせます。現代美術に少し苦手意識がある方ほど、まずは広い展示空間を歩く感覚から入るとよいでしょう。

日本の現代アートが楽しめる美術館について詳しく知りたい方は、日本の現代アートが楽しめる美術館おすすめ15選の記事もごらんください。

根津美術館|庭園まで含めて完成している美術館

根津美術館 庭園 東京都港区南青山
根津美術館 庭園 東京都港区南青山 Wpcpey投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, リンクによる

表参道の根津美術館は、日本・東洋古美術を中心とした美術館です。仏教美術、中国古美術、茶道具、書跡、工芸など、静かな作品が多く並びます。

代表的な所蔵作品として知られるのが、尾形光琳《燕子花図屏風》です。金地に群青と緑青で燕子花を描いた屏風で、日本美術を代表する名品の一つです。展示時期は限られますが、根津美術館を語るうえで欠かせない作品です。

この美術館最大の魅力は、庭園を含めた体験です。展示室で作品を見た後、そのまま庭園へ出ると、空気が切り替わります。水、石、竹、木漏れ日、苔、茶室。東京の中心部にいることを忘れるような静けさがあります。

根津美術館では、作品を見る時間と庭を歩く時間がつながっています。茶道具や古美術を見た後に庭園を歩くと、展示室の中の静けさが、外の自然の中へ広がっていくように感じられます。雨の日の庭園も美しく、しっとりとした空気の中で古美術と向き合える美術館です。

SOMPO美術館|新宿でゴッホ《ひまわり》を見る

SOMPO美術館   東京都新宿区西新宿1-26-1
SOMPO美術館 東京都新宿区西新宿1-26-1 Asanagi投稿者自身による著作物, CC0, リンクによる

新宿のSOMPO美術館は、ゴッホの《ひまわり》で知られる美術館です。厳密には常設展を持つ美術館ではありませんが、《ひまわり》を原則展示しているため、東京でゴッホの代表作を見たい方にとって非常に重要な場所です。

《ひまわり》は、ゴッホが南仏アルルでゴーギャンを迎えるために描いた一連の作品と深く関係する名画です。黄色い花、厚い絵具、力強い筆触が画面全体を満たし、複製や画面越しでは分かりにくい絵具の存在感を感じられます。

SOMPO美術館の魅力は、新宿駅からアクセスしやすいことにもあります。買い物や仕事帰りに立ち寄りやすく、「名画を一点、じっくり見る」という美術館体験に向いています。常設展という言葉だけで考えると少し例外的ですが、東京でいつでも名画に会える場所として、この美術館は外せません。

『ひまわり』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年1月 油彩・キャンバス SOMPO美術館所蔵
『ひまわり』 フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年1月 油彩・キャンバス SOMPO美術館所蔵

三菱一号館美術館|丸の内で味わう赤レンガ建築と19世紀末美術

三菱一号館美術館
三菱一号館美術館 Wish.F – 投稿者自身による著作物, CC 表示 3.0, リンクによる

丸の内の三菱一号館美術館は、赤レンガ建築そのものが魅力の美術館です。近代的なビルが並ぶ丸の内の中で、19世紀末ヨーロッパの雰囲気を感じさせる建物に入り、ロートレック、ルドン、ヴァロットンなどの作品世界に触れることができます。

三菱一号館美術館は、常設館とは少し性格が異なります。所蔵作品をいつでも大量に見られるタイプの美術館ではなく、企画展やコレクションを活かした展覧会、建築空間を含めた鑑賞体験に魅力があります。

特に、19世紀末美術、グラフィック、版画、ポスター、都市文化との相性が非常に強い美術館です。作品と建築の雰囲気がよく合い、丸の内でありながら、少し時間が巻き戻るような鑑賞体験があります。

丸の内、東京駅、皇居外苑、ブリックスクエア周辺と合わせて歩けるため、美術館単体ではなく、街の雰囲気まで含めた鑑賞体験になります。夜の丸の内と赤レンガ建築の雰囲気も相性がよく、仕事帰りや雨の日の美術散歩にも向いています。

そのほか注目したい東京の美術館

ここからは、今回の「常設展が面白い7選」からは少し外れますが、東京の美術館文化を考えるうえで注目したい美術館を紹介します。いずれも魅力はありますが、「常設展が強い美術館」という本編の軸とは少し性格が違うため、補足として整理します。

東京都美術館|上野の公募展文化を支える美術館

東京都美術館  東京都台東区上野公園8−36
東京都美術館 東京都台東区上野公園8−36

東京都美術館は、大型企画展でよく知られていますが、東京の美術館文化を考えるうえでは、公募展や学校教育展の存在も重要です。名品を常設で並べる美術館というより、多くの展覧会、公募団体展、学校教育展、グループ展が集まる、開かれた発表の場としての役割が大きい美術館です。

この点が、東京都美術館の面白さです。美術館というと、完成された名作を静かに見る場所という印象があります。しかし東京都美術館では、現在進行形の制作、団体展、学生作品、公募展文化に触れることができます。東京の美術が、鑑賞者だけでなく、作り手によっても支えられていることが分かります。

永青文庫|細川家の歴史と美術に触れる

永青文庫  東京都文京区目白台1丁目1−1
永青文庫 東京都文京区目白台1丁目1−1

目白の永青文庫は、細川家に伝わる文化財を保存・公開する美術館です。武具、刀剣、茶道具、絵画、書跡、能道具、近代の収集品など、歴史と美術が重なるコレクションを持っています。

永青文庫の魅力は、作品が単独で存在しているのではなく、細川家という長い歴史の中で伝えられてきた点にあります。美術品であると同時に、武家の生活、教養、政治、茶の湯、文化交流を伝える品々でもあります。大規模な美術館とは違い、落ち着いた空気の中で作品と向き合える場所です。

出光美術館|再開後に注目したい日本・東洋美術の名コレクション

出光美術館は、有楽町・日比谷エリアで長く親しまれてきた日本・東洋美術の名門美術館です。やまと絵、水墨画、琳派、肉筆浮世絵、文人画、中国絵画、陶磁器、書跡、茶道具、仙厓など、幅広いコレクションを持っています。

ただし、現在の出光美術館は帝劇ビルの建替えに伴い長期休館中です。したがって、今すぐ訪れる常設展として紹介するのではなく、再開後に必ず注目したい美術館として考えるのが正確です。再開後には、東京で東洋美術をじっくり見る重要な場所として、改めて注目されるはずです。

雨の日や静かに過ごしたい日におすすめの美術館

東京で雨の日に美術館へ行くなら、アクセスと過ごしやすさを重視すると選びやすくなります。駅から近く、都市型の美術館として使いやすいのは、アーティゾン美術館、SOMPO美術館、三菱一号館美術館です。仕事帰りや買い物の合間にも立ち寄りやすく、天気に左右されにくいのが魅力です。

静かな時間を過ごしたいなら、根津美術館や永青文庫が向いています。根津美術館は雨の日の庭園も美しく、葉や石、池の表情が晴れの日とは違って見えます。永青文庫は、目白台の落ち着いた空気の中で、歴史ある品々と向き合えます。

しっかり作品を見たい日には、MOMATや国立西洋美術館がおすすめです。展示量が多く、館内を歩きながら作品の流れをたどれるため、雨の日にまとまった時間を過ごす場所としても向いています。

常設展が面白い美術館の楽しみ方

常設展の魅力は、「何度も行ける」ことです。企画展は一回性がありますが、常設展やコレクション展は、美術館の核となる作品群を継続的に見られる場です。しかも多くの美術館では展示替えがあります。つまり、同じ美術館に行っても、少しずつ内容が変わります。

また、常設展は「自分の好きな作品を見つける」のにも向いています。有名作品だけを急いで見るのではなく、静かな展示室を歩きながら、自分が惹かれる作品を探す楽しさがあります。何度も通ううちに、前は気づかなかった作品が急に心に残ることもあります。

季節によって感じ方が変わるのも、常設展の面白さです。春に見た作品と、雨の日に見た作品、冬の夕方に見た作品では、同じ作品でも印象が変わることがあります。美術館に通う楽しさは、作品が変わるだけでなく、自分の感じ方も変わっていくところにあります。

なぜ常設展は面白いのか

企画展は「今だけ」の魅力があります。一方、常設展には、その美術館が長い時間をかけて集めた「核」があります。そのため、常設展を見ると、美術館ごとの思想や個性が見えてきます。

国立西洋美術館なら西洋美術と松方コレクション、MOMATなら日本近現代美術、東京都現代美術館なら戦後・現代美術、根津美術館なら東洋古美術と庭園文化。どの美術館にも、それぞれの軸があります。

常設展は、「その美術館とは何か」を最もよく表している展示です。大きな宣伝文句がなくても、作品の並び、展示替え、解説、空間の使い方に、美術館の姿勢が表れます。静かな展示室で時間をかけて作品を見ることこそ、美術館本来の楽しみ方の一つです。

まとめ|東京で常設展を見るならどこがおすすめか

東京で常設展を見るなら、まずは国立西洋美術館、アーティゾン美術館、東京国立近代美術館(MOMAT)がおすすめです。西洋美術、印象派、日本近代美術という大きな流れを体験でき、美術館巡りの入口として非常に使いやすい組み合わせです。

そのうえで、現代美術に進みたい方は東京都現代美術館、静かな古美術を楽しみたい方は根津美術館、東京で名画を一点じっくり見たい方はSOMPO美術館が向いています。丸の内の三菱一号館美術館は、赤レンガ建築と19世紀末美術を合わせて楽しめる美術館です。

常設展は、「一回見るための展示」ではありません。何度も通い、少しずつ作品との距離を縮めていく展示です。企画展とは違う、静かで豊かな美術館体験を、ぜひ東京で味わってみてください。

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