先日少し寒い夜に、南浦和にて若手作家さん、小笠原明代さんと小川千尋さんにお会いしました。
二人はこの日が初対面。しかし浦和を拠点にされているところや、油から日本画に転向された経験があるなど、共通点の多いお二人。すぐに意気投合されてました。
会場は女性オーナーのお洒落なお店「温茶(だんちゃ)」さん。
まずは腹ごしらえ。お刺身盛り合わせ・衣かつぎ・豆腐の味噌漬け・日向鶏手羽揚げ・茶そばサラダ・パリパリサラダ・煎り銀杏・お茶漬け・煮麺、デザートはわらび餅。
季節を感じる幸せな味。
そして合わせた日本酒は、山形正宗をお燗して。〆張鶴とあらしばりは冷にて。うーんこちらもお料理にピッタリのお味。
さてさて皆の顔が少し紅くなった頃、ぽつりぽつりと聞いてみました。
まずは小笠原さんから。
(インタビューアーも、小笠原さんも小川さんも皆頭文字がOなので、岡村は岡、小笠原さんは笠、小川さんは川で表記します。)
岡: 絵はいつから描いているのですか?
笠: もう子供の頃からです。唯一得意なのが絵でしたから。
岡: 子供の頃って絵を描く子や、また粘土遊びが好きな子とかいるけれど、どっちも好きでしたか?
笠: はい。割りとどちらも好きでした。3-4年生の頃からは、布を使ってお人形を作ってました。うさぎとかの。
岡: ご両親も絵を描かれるの?
笠: いえ、ただ母は洋裁をやっていました。父は何も作らないけれど性格が芸術家気質でした(笑)。
岡: もともとは油絵をされていたのですよね?
笠: そうです。14歳のときに油絵具のセットをプレゼントされて、それでまずはSMサイズの薔薇を描きました。
岡: 薔薇ですか素敵ですね。今その絵はどうなさっているのですか?(14歳が描く薔薇の油絵って見てみたい。)
笠: うーんどこかへ行ってしまいました・・・。
岡: 油のあとに日本画に転向されてますよね?
笠: はい。日本画の質感などに惹かれました。
技術面で4〜5年前くらいから日展系の先生に師事しています。でも、その先生は優しくて、先生の人柄に惹かれたのも大きいです。個性を伸ばして下さいます。
岡: 先日は、埼玉県立近代美術館の地下ギャラリーで個展を開催しましたね。展示していたものは殆どが今年描いた新作と伺い、驚きました。展示を通して感じたことはありますか?
笠: 近代美術館は子供の頃から自転車でよく行っていた場所なので、親しみがありました。
まさかあそこで自分が展示することになるとは思わなかった・・。
展示を通して感じたのは、「難しい!」ってことです。
正直、あれだけの作品を創るのは体力勝負でした。
また展示する際のバランスの取り方など、やってみて初めて分かったこともあります。
お客様から言われたことや自分が感じたことも、正直まだ消化しきれず整理できずにいます。
でも「やって良かった」ということは断言できます。
岡: 沢山のお客様がご覧になっていましたが、どんな方に見て頂きたいということはありますか?
笠: 絵が好きな方だったら誰でも!
岡: 近代美術館に展示していた作品は魚や縞文様などが印象に残ってますが、モチーフの選定なんかはどうされてますか?
笠: ひらめきです!
私は直感力を大切にしてます。縞は格子や檻や織物をイメージしていますが、その向こうに魚がゆったりといることによって、魚からも見られているのかな、という感じがします。
また縞の幅の取り方で画面に奥行き感も出ます。
岡: 近代美術館の団体展に油絵もだしてましたね。女性の絵。あの絵も良かったと思います。
笠: あの油絵を描いているときは楽しかったです。日本画が自分のなかで「静」なのだとしたら、油絵は「動」かもしれません。ストレスを発散するように楽しみました。
岡: じゃあこれからも油を描きますね?きっと。これから描いてみたいものなんかはありますか?
笠: 抽象作品!気の向くままに描きたいです。考えずに感じるままに。理屈ではないところが好きです。
ひらめきや直感を大切になさっている小笠原さんは、右脳派らしくヨガもなさっているようです。
心身で感じることが彼女の作品に繋がっているのかもしれません。
次回は小川さんの話に続きます。
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